田中ひろし法律事務所のBlog
2015年12月 2日 水曜日
ADR(裁判外紛争解決手続) 第5回
こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
前回に引き続き、
「街頭で声をかけられたのをきっかけに購入した絵画に関する紛争」
について見ていきたいと思います。
申請人と相手方の主張は前回のブログをご覧ください。
今回は、その後、国民生活センター紛争解決委員会の委員が
間に立って行われた話し合いについてまとめていきます。
話し合いにおける双方の主張をまとめると
以下のようになります。
まず、問題となっているリーフレットについては、
それぞれ次のような主張がありました。
・相手方事業者:街頭で声をかけた際に渡したリーフレットに絵画の販売目的等を明記しており、申請人もそれを十分承知しているはず
・申請人:展示会場までは街頭で声をかけてきた女性が付き添っており、渡されたリーフレットの記載内容が目に触れる機会はなかった
また、展示会場に入ったことについても、申請人は
・展示会場は絵画の販売会場のようには思えず、絵画の販売が目的であるようには認識できなかった
と主張しています。
ここでも双方の意見は一致しませんね。
街頭や展示会場でのやりとりについては、証拠となるものも少なく
認識の違いを解消することは難しそうです。
しかし、この問題に早く決着をつけたい、という気持ちは
お互いに共通のはずです。
そこで、早期解決を図るため、
「相手方事業者が商品代金のうち95万円を申請人に返還し、
申請人は本件商品を相手方事業者に返送する」
という和解案が紛争解決委員によって提示されました。
結果、両当事者がこれを受け入れ、和解が成立したそうです。
支払ったのは100万円ですから、全額とはいかなかったものの
95%の金額は戻ってきたことになりますね。
もし、申請人の方が、クーリングオフが受付られなかったことで
諦めてしまっていたら、どうなっていたでしょう。
相手方としても、表沙汰にすることなく短期間で解決できたことで
かえって助かった、という面があったのではないかと思います。
ADRのポイントは、第三者である仲介人が
和解案を提示する点にあります。
もし、これを裁判等で解決しようとすると
「本当に執拗な勧誘があったのか?」「その証拠は?」
と、ひとつひとつの事柄について証拠を集めたり
それをまとめた資料を作成したりといった時間がかかり
解決までにもっと長い時間と手間がかかったと想像できます。
今回の場合は、執拗な勧誘があったかどうかや
1つひとつのやりとりの詳細を調べることそのものは
申請人にとっても相手方の事業者にとっても
さほど重要ではなかったのではないでしょうか。
ADRでは、こういった詳細をいったん脇に置いて、
「お互いが納得するための落とし所」を探ることに
力を注ぐことができるわけですね。
前回に引き続き、
「街頭で声をかけられたのをきっかけに購入した絵画に関する紛争」
について見ていきたいと思います。
申請人と相手方の主張は前回のブログをご覧ください。
今回は、その後、国民生活センター紛争解決委員会の委員が
間に立って行われた話し合いについてまとめていきます。
話し合いにおける双方の主張をまとめると
以下のようになります。
まず、問題となっているリーフレットについては、
それぞれ次のような主張がありました。
・相手方事業者:街頭で声をかけた際に渡したリーフレットに絵画の販売目的等を明記しており、申請人もそれを十分承知しているはず
・申請人:展示会場までは街頭で声をかけてきた女性が付き添っており、渡されたリーフレットの記載内容が目に触れる機会はなかった
また、展示会場に入ったことについても、申請人は
・展示会場は絵画の販売会場のようには思えず、絵画の販売が目的であるようには認識できなかった
と主張しています。
ここでも双方の意見は一致しませんね。
街頭や展示会場でのやりとりについては、証拠となるものも少なく
認識の違いを解消することは難しそうです。
しかし、この問題に早く決着をつけたい、という気持ちは
お互いに共通のはずです。
そこで、早期解決を図るため、
「相手方事業者が商品代金のうち95万円を申請人に返還し、
申請人は本件商品を相手方事業者に返送する」
という和解案が紛争解決委員によって提示されました。
結果、両当事者がこれを受け入れ、和解が成立したそうです。
支払ったのは100万円ですから、全額とはいかなかったものの
95%の金額は戻ってきたことになりますね。
もし、申請人の方が、クーリングオフが受付られなかったことで
諦めてしまっていたら、どうなっていたでしょう。
相手方としても、表沙汰にすることなく短期間で解決できたことで
かえって助かった、という面があったのではないかと思います。
ADRのポイントは、第三者である仲介人が
和解案を提示する点にあります。
もし、これを裁判等で解決しようとすると
「本当に執拗な勧誘があったのか?」「その証拠は?」
と、ひとつひとつの事柄について証拠を集めたり
それをまとめた資料を作成したりといった時間がかかり
解決までにもっと長い時間と手間がかかったと想像できます。
今回の場合は、執拗な勧誘があったかどうかや
1つひとつのやりとりの詳細を調べることそのものは
申請人にとっても相手方の事業者にとっても
さほど重要ではなかったのではないでしょうか。
ADRでは、こういった詳細をいったん脇に置いて、
「お互いが納得するための落とし所」を探ることに
力を注ぐことができるわけですね。
投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所